5月の終わりに来院された男性の足が動くようになりました。この方は、十年以上、末梢神経麻痺で爪先を上げることができませんでした。そのため、歩くことはできましたが、足のまねきができないため、非常に不自由に感じられていたそうです。十年以上、自分の意思で爪先を上げることができない状態でしたが、先日、自分の意思で爪先を上げる動きができるようになった。とはいえ、足が動くようになったといっても、まだ歩行に活かされ快適に歩くことができるようになったわけではありません。
健康な人は気にも留まらない、何気ない足首の動きですが、動かせない状態になると、歩行動作が思うようにならなくなるのです。まだ、足首の力は弱々しく、歩行動作に活かせる状態ではありませんが、十年ぶりに自分の意思が足に届いたことは、本人にとっては驚くほど嬉しいことだったでしょう。
私自身も末梢神経麻痺で足が動かなくなって歩行困難になった経験があります。私は早期に回復の過程を辿りましたので、十年以上経っていたにもかかわらず、動かなかった足が回復過程に向かうことの不思議さに驚きました。
私がリハビリでもっとも重要だと考えていることは、神経系統の流れを良好にすることです。自分の意思が足に届くまでの過程で、実際に体の中で何が行なわれているか、ということは、わかりませんが、人体の不思議さと可能性に驚かされるばかりです。
自分の意思が足に届くようになり嬉しいと思いますが、トントン拍子に回復し歩行動作に活かされれば良いのですが、思うようにいかないことで、もどかしいこともあると思います。焦らず、リハビリに励んでほしいです。