腕は指先まで、脚はつま先まで、カラダの末端までを意識して滑らかな動きをトレーニングすることは大切です。しかし、末端を意識しているものの、なぜか力んで動きが硬くなってしまう。
「~を意識」するとは、何をすればよいのでしょうか?
答えは簡単です。自分のカラダを末端までコントロールできるようにするための意識をもてばいいのです。力んでしまう人というのは、末端の骨格筋を意識的に作用させているのです。つまり、「どうしたらカラダの末端までをコントロールできるようになるのか?」という考えを意識にあげるということです。
そもそも、何かをコントロールするためには、各器官が機能する状態にあることが前提です。しかし、「~を意識」しなければならない人というのは、各器官の機能状態が前提に達していません。そして、各競技の「技術的な意識」と混同している人が多いのではないでしょうか?各競技の「技術的な意識」というのは、前提に達していてのコントロール訓練です。不調や痛みなどは、前提に達してないことのサインですから、闇雲に「~を意識」しているのであれば考えを整理することが大切です。
各パーツを意識するということは、各パーツに付随する骨格筋を作用させるということです。トレーニングのある段階で必要になる意識です。例えば、股関節を外旋できるようにするために意識的にお尻に力を入れても、股関節の外旋可動域は拡がりません。柔軟なバレエダンサーに多いのが、どの筋肉を収縮させるのか、関節をどの方向に運動させるのか、脚の骨のアライメントをどのように揃えるのか、などが曖昧なために股関節を外旋できません。各パーツを意識するというのは、これらを明確にしてから意識をして股関節の外旋を訓練していきます。逆にいえば、筋肉、関節、骨が曖昧なままでは股関節の外旋ができません。
そして、各パーツが曖昧なまま踊り続けることで、脚や腰などのトラブルが発生します。例えば、腰椎分離症に悩まされていたダンサーは、股関節の運動感覚が低下している状態で練習を重ねていました。それは、自分が思っている股関節の位置と実際がズレている、股関節の外旋をするのにどこのどの筋肉を収縮させてよいかわからない、さらに筋肉を指示されてもそこへ意識が通らない、という状態です。つまり、股関節は休暇中、代わりに腰椎が休日出勤・残業で多忙ということで腰椎分離症という形でサインを出していました。
指導者は、技術向上のための指導なのか、機能回復のための指導なのかを明確にすることが大切だと思います。また、技術を習得する側は、自分のカラダの状態を理解し、指導の趣旨を的確にとらえることができる「学び力」を養う。そうすることで、自分のカラダは自分で守ることができ、自分が目標をつかみ取ることができるのだと思います。
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ゆび先を意識する/意識とコントロールで腰椎分離症を克服
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