「深部感覚」校了!
この新刊制作に費やした期間は2年半。
長いのか短いのか?
それはともかく私が自分と向き合った
かけがえのない時間だったことは間違いない。
自己のアイデンティティは、体が自分固有のもの
と感じられるからこそ、
自分というものが感じられる。
この感覚は、固有感覚、あるいは深部感覚という。
つまずきやすい人、
体のあちこちを何かにぶつけやすい人、
体が痛いのだけれども何処が痛いのか明確に示せない人、
体をどうやって動かしてよいかわからず伸び悩んでいる人、
など深部感覚が鈍い、薄くなっているといえる。
慢性腰痛は、最新の情報で脳に原因があるといわれるようになったが、
中枢の司令塔である脳が感覚システム内で痛覚を感じている、
ということであれば体の防御システムの面からいえば正常な反応といえる。
むしろ、慢性痛に及ぶまで感覚系に耳を傾けないということが問題。
私が見た何人もの慢性腰痛患者は、自分の体を所有していなかった。
自分の体を所有していないというのは、
自分の体であって自分の体と思えないという感覚。
若い頃は・・・、怪我をしなければ・・・、無理をしなければ・・・、
と、衰えた自分の体に後悔、慰め、強がり、妥協、など
様々に自分の体を所有していないことを嘆く。
体を快適に動かすということは、自分の体の所有者がコントロールすることだ。
自分の体は他の誰でもない自分が所有してコントロールするしかない。
深部感覚(固有感覚)が鈍い、薄い、という状態は、
自分の体の所有者になり切れない。
その状態では自分の体をコントロールしようにも雑な動きしかできず、
体に負担をかけてダメージを蓄積する。
リハビリは関節や筋肉をゆるめて体の緊張をやわらげ除痛して終わりではない。
リハビリとは「本来あるべき状態への回復」という意味であり、
自分の体を取りもどす、患者の立場から自分を回復するまでの過程が必要。
よって、私は深部感覚(固有感覚)を取りもどすまでがリハビリだと考えている。
自分が自分であるための体の在りようというのは、
リハビリと動きのキレを向上させるためのトレーニングにおいて
スタート地点が一致していなければ自分というものの矛盾になる。
外部の刺激を感知し感覚にするトレーニングばかりでは、
自分の体の絶対的な所有者になれない。
トレーニングは自らの動きによって生じる内部の刺激を感知する感覚を厚く、
研ぎ澄ませて、動きにキレを与える。
優れた体のコントロールは、自分の体を絶対的に所有している者にのみ可能なのだ。
自分のことなのに上手くいかない人は、何かのせい、誰かのせいにしないで、
自分と向き合うことが大切だと思う。
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自分が自分であるための感覚/深部感覚(固有感覚)
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