外反母趾の治療をしている方、気になっている方向けの記事です。
外反母趾は足の親指が人差し指のほうへ「く」の字に曲がって、親指のつけ根(MP関節)の飛び出した骨が痛みます。立ったときの足の裏の圧のかかり方を計測してみると、そのほとんどが親指側に圧が集中し、小指が浮いています。
外反母趾の原因はつま先の狭いハイヒールを履くことなどで親指の付け根に負荷がかかり変形するといわれています。しかし、つま先の狭いハイヒールを履いても外反母趾にならない人もいます。その人は同じようにつま先が狭いハイヒールを履いていながらも、親指には負荷がかかっていないということになり、履物が原因ではないと考えられます。すると、親指に負荷がかかる原因は他にあるということになります。そして、親指に負荷をかけ続けていれば、変形が進行し、痛みがひどくなる、ということです。
▲趾でカラダが変わる(日貿出版社)P.72外反母趾のメカニズム
最近は自分の足にピッタリのシューズを履いていても外反母趾になる若い人がいます。スポーツ選手ですと、外反母趾が原因でパフォーマンスの低下を招いているケースも少なくありません。また、外反母趾だけでなく膝や腰の痛みなど身体の各部の痛みを合わせ持っている人も少なくありません。外反母趾は足の問題ですが、
足は身体を支えるための土台なので、当然、身体の支持性や衝撃緩和に影響し、身体全体の問題につながります。
外反母趾の治療は、「痛みをとる」「親指に負荷をかけない」が大切です。とくに痛みをとることに注目してしまいますが、親指に負荷をかけないようにすることを併用する必要があります。「親指に負荷をかけない」というのは、安静にするということではありません。外反母趾の親指の先は感覚と運動が鈍くなっています。そのため親指のつけ根(MP関節)で体重を受けることが身についてしまっています。立位のときに小指が浮いているのは親指のつけ根に体重が集中しているからです。ですから、親指の先と小指を接地できるようにして、親指のつけ根(MP関節)にかかる負荷を軽減させるのです。
治療の進め方は、
1.痛みをとる
2.浮いている小指の接地する
3.親指の先の感覚と運動をなおす
できれば、1~3を同時進行で行うのがよいですが、外反母趾になってしまっている足の指というのは感覚と運動が極端に鈍くなっているので、まずは 1と2 からはじめ、小指の接地がある程度できるようになったら、3を始めるのがいいでしょう。
2の小指を親指よりも先になおす理由は、小指の骨が立方骨、踵骨とつながり薬指とともに身体を支持する役割だからです。小指が浮いたまま支持性が低い状態で、親指をなおそうとしても、親指のつけ根にかかる負荷は軽減しません。膝や腰の痛みなど身体の各部の痛みがある人は、外反母趾を合わせ持っていることが多く、症状を繰り返さない、また完治させるためには、足元を治療することが大切です。
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