構造動作トレーニングの股割りは、重力の影響を軽減できているからこそ、じっくり股関節を探り、練ることができるのだと改めて思う。若い頃は大学の解剖学研究室で多くを学ばせていただいた。当時は、生体の筋肉、関節、骨などが、実際に動く様子を想像していたが、今思うと大した想像ではなかったのだと思う。それだけ解剖学を勉強しても、自分の股関節はからっきし動かせなかった。その後、股関節を動かすことができたと思っていたが、実は筋肉を伸張した可動域に過ぎなかったと今ならわかる。股割りに取り組むようになってからは、2次元から3次元の解剖学へとステップアップした感じがした。そして、股割りの動作の質を求めるようになってからは、解剖学だけではなく、生理学、運動学、物理学、力学などの総合的な学問に発展しているようだ。そうなると一筋縄ではいかないが、宇宙際タイヒミューラー理論を使えば、何とかなりそうな気がする。今後も引きつづき、じっくり股関節を探り、練っていく。
腰仙神経叢は、腰神経と仙骨神経の前枝からつくられる。これから出る枝は下肢の知覚と運動をつかさどる。大腰筋と小腰筋はL1~L4、腸骨筋はL2とL3に支配される。まず、股割りは大腰筋の作用で開脚前屈をおこなえるようにする。
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▲解剖学アトラス 越智淳三=訳
大腰筋の作用で開脚前屈をできるようにするためには、腰仙神経叢の経路を確保しなければならない。これは、力学的に最も強度を発揮する骨格位置を股割りの姿勢と動作に入れることだ。腰が引けて背中が丸まってしまうような姿勢では、骨盤が後傾して腰仙神経叢の経路が十分に確保されない。仙骨神経叢S1~S3が骨盤内を走行し、坐骨神経から腓骨神経、脛骨神経と枝分かれし、大腿と下腿、足指の知覚と運動をつかさどる。股割りは開脚前屈において動作を円滑におこなうために脚をキープする。骨盤が後傾すると仙骨神経叢の経路を確保できないために大腿と下腿、足指のコントロールができない。骨盤はトライアングルベースを捉えることが大切だ。
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▲解剖学アトラス 越智淳三=訳
股関節を動かすことは、下肢の知覚と運動の循環である。下肢末端の足指が思うようにコントロールできなければ、股関節を円滑に動かすことができない。足指が思うようにコントロールできないと、足をなんとかしたくなるが、腰仙神経叢の流れをみるべきだし、また力学的な問題もクリアしていかなければならないのだ。
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