ヒグラシ色の山の中、季節が刻々と移り変わろうとしている。台風の跡は、ヒノキの葉や枝が森の小道に散乱している。森の小道の足元からは、蝉が一声に飛び立ち、私にぶつかってくるものもあれば、はたまた、私を木と間違えてしがみつく。
この日は、接地時の末節骨に注目する。末節骨が確実に地面と接触するように、着実に歩をすすめた。私は、接地の際に右の末節骨が抜けやすい。ということは、接地で末節骨が抜けた瞬間というのは、骨なりに立つということができていない。骨は身体を支える役割だが、大きな骨ばかりでなく、小さな骨だからといって雑にできない。