Quantcast
Channel: 股関節が硬い 徹底究明!中村考宏の超スムーズ股関節回転講座
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1811

『「深部感覚」から身体がよみがえる!』を読んで (江花輝昭)

$
0
0

中村先生が、待望久しい新刊『「深部感覚」から身体がよみがえる!』(晶文社)を出版されましたが、私はこれをいの一番に購入し、一気に読了しました(とある事情により私の所有する本はレア物です)。

中村先生はすでにご著書を何冊も上梓されていますが、この本は、これまでの著書とはかなり違うたたずまいの、きわめて特別なものであるという印象をまず持ちました。というのも、そこにはこれまでなかったほど先生の個人的な体験についての記述が多かったからです。中村先生が右脚の深部感覚を失い、再びそれを取り戻すという経験をしたことが、「深部感覚トレーニング」が生まれるきっかけになったという記述があります。自分自身の辛い経験がなければ「深部感覚トレーニング」が今のような形で存在することはなかったわけで、その思いに導かれた先生の切実な探求がこの本に独特の緊張感をもたらし、その提言に真正さを与えているような気がします。

この本で扱われているトレーニングの中にはすでになじみのエクササイズもありますが、そこに「深部感覚」という筋が一本通ることによってトレーニングが体系化され、全体として非常に見晴らしのよいものになっていると思います。私は「深部感覚(固有感覚)」をさらに深く理解したいと考え、読みつけない生理学やら神経科学の本を何冊も斜め読みしましたが、「深部感覚(固有感覚)」の研究は日本ではあまり進んでいないようで、日本語で読める参考になる文献はそれほどありませんでした。そこで生来の凝り性が災いし、「固有感覚」を発見してその名付け親ともなったサー・チャールズ・シェリントンの著書『神経系の統合作用』(1906)から、さらには彼が感覚神経系器官としての筋紡錘に言及した「骨格筋神経の解剖学的組織について」(1894)という論文にまで手を出す羽目になりました。おかげさまで、「筋紡錘」だの「ゴルジ腱器官」だのという専門用語には多少詳しくなりましたが、難しい論文なのであまり理解は進んでいません。

著書の中で中村先生は、シェリントンを受け継いで、「深部感覚」とは「自分が動くことによって生じるカラダ内部の刺激を感知する感覚」だとおっしゃいます。その感覚を拾うことが重要であり、「感覚を拾うということは、自分のカラダのパーツを自分のものにし、自分の存在を確信するものであり、自分を知るための働きかけ」となるともおっしゃっています。

最近立て続けに怪我ををして(深部感覚がまだまだ鈍い!)、あまりトレーニングに進展が見られないのが情けないのですが、『「深部感覚」から身体がよみがえる!』を繰り返し読むことでその要諦をつかみ、自分のカラダの声に耳を傾けながら、たとえ亀の歩みのようであったとしても、深部感覚トレーニングを通して自分を知るために、一歩一歩前に進んでいきたいものだと思っています。

 

---

トレーニング中の怪我で末梢神経麻痺となった著者は、

どのようにして足の感覚を取り戻すことができたのか。

 

「深部感覚」から身体がよみがえる!

重力を正しく受けるリハビリ・トレーニング(晶文社)

著 中村考宏


Viewing all articles
Browse latest Browse all 1811

Trending Articles