バレエや太極拳の動作に直結する開脚前屈と直結しない開脚前屈のつづき。
足を外へ回す動きは外旋、足を内へ回す動きは内旋、という。足を内外旋する動きは股関節でおこなう。足を外旋するときに外へ開いてしまう人が多い。これは、外転という。また、足を外旋したときに、膝から下は外旋しているようにみえるが股関節の外旋は不十分だという人も多い。
股関節の外旋ができるようになると、お尻が足になる。ヒップジョイント、股関節をコントロールできるようになった証。この感覚がでれば、さらに股関節の精度を高めていく。
開脚前屈をするときに、鼠径部がつまる、という人が多い。その対処方法で多いのは、鼠径部の筋が硬くなっている(硬結)と思い、鼠径部の筋をマッサージや指圧、ストレッチをする方法。しかし、一時的につまりを解消できても再びつまりは繰り返す、これでは一向に問題解決に至らない。
開脚前屈をするときに、鼠径部がつまる、というのは、「股関節のコントロールができていない」か「動作に作用しなければならない筋が作用していない」などの原因が考えられる。
「股関節のコントロールができていない」ならば、構造動作トレーニングでお尻を足にする。そして、開脚前屈の「動作に作用しなければならない筋が作用していない」ものは、大腿神経を解放する。鼠径部の筋をマッサージや指圧、ストレッチをすると逆効果になり、大腿神経を解放できなくなるので注意。
▲骨格筋の形と触察法(大峰閣) 著:河上敬介、磯貝薫
動きに長けたバレエダンサーは、大腿神経が解放されていて、美しい脚の表現ができる。キャリアのあるバレエダンサーでも大腿神経が拘束されていれば、動きにキレがなく、怪我は絶えない。
大腿神経を解放するには、徒手療法が必要になることもあるが、開脚前屈の動作に作用する筋の収縮率を高めることが必要だ。開脚前屈は、足関節の背屈バージョンと足関節の底屈バージョンをおこなう。
開脚前屈は、必ず、トライアングルベース(恥骨+坐骨)を床に接触したポジションからスタートすること。足関節の底背屈は、鎌足にならない状態でおこなうこと。
大腿神経の支配は、バレエ動作に限らず、一流のスポーツ競技で活躍するための動作に作用する筋、腸腰筋や大腿四頭筋。鼠径部のつまりは、特別な病気がない限り、筋が硬くなっている(筋硬結)と勘違いしないように注意。